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医療技術部門

薬剤部の概要

外来患者数1日平均418人で外来患者さんへの処方せん発行枚数は一日平均約200枚、院外処方せん発行率約97%です。入院処方せんは約1,100枚/月、老健の処方せん約180枚/月、注射せん約1,100枚/月、薬剤管理指導約300件/月です。薬剤部は、薬剤師5.5名(常勤5名、非常勤1名、事務1名)で業務を切り盛りしています(平成25年4月1日現在)。

地方の病院なので入院患者さんの多くが高齢であることを踏まえ、それに応じた優しい仕事を心がけています。「患者さんのため」を第一優先にしており、キャッチフレーズは「優しい薬剤師を目指しませんか?」です。当院の薬剤部員は、業務のなかの様々な疑問点・問題点などをこつこつと解決しています。このことにより自分たちの業務がやり易くなり、また質も向上します。そして、なによりも患者さんやスタッフから感謝されるなど達成感も得られ、モチベーションが向上して楽しく仕事を行うことができています。

2005年に簡易懸濁法を院内全体に導入したことをきっかけに継続して業務改善を続けており、改善内容を学会発表することで広く世の中に評価していただくという作業を続けています。2009年・2013年にはこれらの仕事が評価され第17 回・第21回と、2回もクリニカルファーマシーシンポジウムで賞を頂きました。茨城県薬剤師学術大会では、2009~2012年まで4年連続の大会賞を受賞しています。

他施設、大学、企業などたくさんの先生方に教えを頂いて共同研究も多く行っています。思う存分楽しんで仕事に打ち込みたいという仲間が集まっています。

最近の主な研究内容

  • 「療養病床と老健施設回診同行10年:ベッドサイドにおける薬剤師の処方提案」
  • 「薬剤師のDICへの積極的介入の臨床での有用性」(2012.7)
  • 「ランソプラゾール・ネキシウムの簡易懸濁法可否の検討」(2010.11 , 2012,3)
  • 「経験に左右されない注射薬適正使用の為のシステム構築」(2012.12)
  • 「中小病院における安全な抗がん剤調製方法の検討」(2010.11)
  • 「簡易懸濁法施行時に使いやすい懸濁容器・注入容器の検討」(2010.12)
  • 「医師へのアルブミン適正使用サポートマニュアルの作成」(2007.10)
  • 「薬歴表を組み込んだ『大洗処方せん』の有用性と発展性」(2006.10)
  • 「患者さんに喜ばれる酸化マグネシウム錠製剤の検討」(2008.3)
  • 「リネゾリド投与による血小板減少と腎機能の関係」(2008.3)
  • 「軟膏混合調剤における画材利用の有用性」(2007.8)
  • 「お薬カレンダーを使った安全で効率的な与薬業務の検討」(2008.7)
  • 「抗菌薬適正使用サポートソフトの開発」(2008.9)
  • 「簡易懸濁時における安定性と相互作用の検討」(2008.3)

 

特徴ある業務の紹介

1.服薬支援

入院されている患者さんは高齢の方が多いので、全てのお薬を一包化しています。また、分包紙には大きな文字で服用日を、さらに入っている薬剤名も記載しています。それでも退院後に服薬が上手くできずに再入院を繰り返す場合が多くあります。

そこで当院では与薬カートではなく在宅などで使用するお薬カレンダーを使った独自の与薬方法を、薬剤師と看護師の協力で考案しました(2008~)。病棟では入院当初から市販の与薬カートは使わず、お薬カレンダーを利用した独自の与薬カートを使って看護師が与薬を行い、退院・帰宅してからの患者さんの服薬イメージトレーニングができるようにしました。自己管理可能と判断されたところでお薬カレンダーをベッドサイドの壁に移して、患者さんに自己管理してもらいます。

最後にまとめとして薬剤師が退院指導を行ないます。この方法により近隣地域の患者さんの退院後のコンプライアンスが向上して再入院が減少しました。

2.病棟活動

薬剤師は以前からより病棟滞在時間は長く、医師、看護師や病棟スタッフとのコミュニケーションも良好でした。そのため、今までの業務を医師等と詳細に詰めることでプロトコルに基づいた薬学的管理PBPM(CDTM)をいち早く整備することができています。
単なる検査値のオーダーに留まらず血液内科の癌や感染症性DICなどのPBPMにまで及んでいます。

3.安全対策

患者さんの安全対策としては、当院で考案した処方の履歴が一目で分かる薬歴表処方せん(通称「大洗処方せん」)を使用しています(2007~)。この処方せんにより、抗がん剤やリウマトレックス®などのように重大な事故が多く報告されている管理の難しい危険な薬をはじめ、すべての薬の開始や中止が処方せん上でリアルタイムに管理できるようになり、現在の服薬状況とその経緯が他職種にまでよくわかるようになりました。

その結果、院内ヒヤリハットの激減と効率化が達成できました。そのうえお薬カレンダーと大洗処方せんのコラボレーションは、持参薬から院内処方への切替においても効率の良い安全な管理を可能にしました。

4.システム開発

現在の最大の問題点は、このように整備してきた効率の良い安全な仕組みが、オーダリングのシステムを導入することですべて振り出しに戻ってしまうことです。現在のオーダリングシステムでは薬歴表形式処方箋に対応できていません。そのため、この大洗処方箋で蓄積してきた安全な運用のためのアイディアを組み込んだシステムを2015年12月に当院で独自に開発しました。

2015年12月より、完成した電子化薬歴表形式処方箋を印刷して実際に使用しています。すなわち、処方箋そのものに薬歴と過去6回の検査値が印刷され、その薬歴画面と検査値の推移を確認しながら調剤が可能になっています。

5.適正使用

また当院は大学から派遣された若い医師も多いので、新人医師が得意ではない医薬品を適正に使用できるようにマニュアルを作成して(2008.9)提供しています。たとえば、抗生物質適正使用マニュアルは初見でもすぐに使えるシンプルなものを作成して、パソコン版と紙版を作ったことで医師に大好評です。

パソコン版は画面を切り替えたりスクロールすることなく、開いたその一画面のみで組織移行性に沿った薬剤選択と患者さんの腎機能にあった投与量を選べるものです。
また、血漿分画製剤適正使用マニュアルは(2007.10~)フローチャートに沿って判断することにより大切な資源である血液製剤を正しく使えるようにしたもので、薬剤を適正に使った後の保険請求の書き方マニュアルまで付けたことで医師に大変喜ばれています。

平成24年度には「急性期DIC治療フローチャート」の作成に成功し(2011.12~)臨床で高い評価を受けています。
この成果により平成25年度には第21回医療薬学フォーラム/クリニカルファーマシンポジウムで賞を頂きました。 

6.薬剤師教育

更に当院は医療薬学会認定の研修施設になっており、学生はもとより、調剤薬局の薬剤師を受け入れて臨床研修を行なう仕組みも用意しています(大洗塾)。臨床現場で多くの疾患に出会い体験することが効率よく行なえる中小病院ならではの実習が可能になっています。在宅医療への関与を見すえた薬剤師の参加や自己研鑽の目的で薬局のみならず個人での参加も多く、輩出塾生が増えてきています。

おわりに

このように、小さな病院の臨床現場には解決しなければならない多くの問題が毎日のように発生しており、それらは薬剤師の能力をフルに発揮できるやりがいのある課題ばかりです。当院は簡易懸濁法に真剣に取り組んだところから業務への見方が変わってきた気がします。努力した分大きな成果が得られ、患者さんから感謝される、そして、たくさんのわくわくするようなテーマがここにはあります。

【参考文献】
  1. 医薬ジャーナル42(3):991-998、2006
  2. 月刊薬事48(7):1067-1075、2006
  3. 経管投与の新しい手技 簡易懸濁法Q&A Part1-基礎編、第2版40-46、じほう、2009
  4. 第16回 クリニカルファーマシーシンポジウム講演要旨、274、2008
  5. 日本病院薬剤師会関東ブロック第39回学術大会講演要旨、296、2009
  6. 第14回 クリニカルファーマシーシンポジウム講演要旨、239、2006
  7. 月刊薬事49(7):Front Page 943-946、2007
  8. 第17回 クリニカルファーマシーシンポジウム講演要旨、184、2009
  9. 第11回 医薬品情報学会講演要旨、100、2008
  10. 第18回 日本医療薬学会講演要旨、P378、2008
  11. 第17回 日本医療薬学会講演要旨、P253、2007
  12. 第20回 日本医療薬学会講演要旨集、P228、P291、P353、P422,2010.
  13. 第19回 クリニカルファーマシーシンポジウム講演要旨集、P165、2011
  14. 第21回 日本医療薬学会講演要旨集、P261、P294、2011
  15. 日本薬学会講演要旨集 31P1-am015
  16. 第22回 日本医療薬学会講演要旨集、P381,P417,2012
  17. 第23回 茨城県薬剤師学術大会講演要旨集、P28,P54,2012